他の自治体の「先行事例」を待つことなく、「全国初」に果敢に挑み、実現していく姿に全国から熱い視線を集める福岡市。2018年より市施設でのキャッシュレス対応を開始したキャッシュレス先進都市でもあり、2019年6月現在、公共施設や区役所など20窓口・39施設で「LINE Pay」の利用が可能です。
ICT戦略室ICT戦略課の皆さんに、キャッシュレス導入の背景や、福岡市が挑戦し続ける理由について伺いました。

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福岡市 総務企画局 ICT戦略室 ICT戦略課 (左から)森さん、植村さん、鐘ヶ江さん※所属は2019年6月時点

決め手は「ユーザー基盤」「業務効率化への期待」、そして「セキュリティへの信頼感」。

-福岡市でキャッシュレス(コード決済)を導入することになった背景を教えてください。

福岡市では、先端技術を利用した革新的なアイディアを民間事業者から提案頂き、実証フィールドの提供や関係者調整を我々で行う「実証実験フルサポート事業」を実施しています。

市が抱える課題に合わせた提案募集もしており、年々増加するインバウンド客への対応、市内事業者の99%を占める中小企業の生産性向上などの課題に対し、「キャッシュレス」が重要なテーマになると判断しました。
2018年6月~2019年3月に実証実験を実施。(※1)その後改めて公募を行い、実証実験から続けて「LINE Pay」を採択しました。4月より本格導入し、対応範囲も少しずつ広がってきています。

※1 キャッシュレス実証実験 LINEグループの最終報告についてはこちらをご参照ください
http://linefukuoka.blog.jp/archives/79238213.html

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中央区役所に設置された、「LINE Pay」導入を知らせる懸垂幕


-複数の事業者が公募に参加した中で、最終的になぜ「LINE Pay」を選んで頂けたのでしょうか。

理由は大きく3つあります。
一つは「LINE」というサービスが既に圧倒的なユーザー数を抱えており、多くの市民の方に使っていただける可能性が高いと考えられたこと。
二つ目に、複数種の端末から施設に合ったものを選べるなど、様々な施設がある中でも事務作業の効率化が期待できたこと。
そして何よりも三つ目が、セキュリティに関する信頼感です。当時、市民の方や内部関係者もまだスマホ決済を使ったことが無い方が多数派で、「個人情報やお金が流出するのではないか」などセキュリティに対する不安の声も多く出ていました。
公募時の審査項目の中にもセキュリティに関する要件を入れていましたが、「LINE Pay」はそこに関して、国際的セキュリティ認証を取得していること、補償制度を用意していることなどをきちんと伝えてくれたため、その点も評価につながりました。(※2)

※2 LINE Payのセキュリティについてはこちらをご参照ください
http://pay-blog.line.me/archives/22019801.html


勉強会やセミナーで不安・疑問を解消。市民・施設から好意的な反応も多数

-導入にあたってぶつかった壁や、工夫されたことはありますか?

施設ごとに元々の決済の仕方も、ポスレジ、券売機など様々ありますので、事前にヒアリングをし、親和性の高い施設から順に導入していく形としました。費用や事務負担に対する不安の声も多かったので、そこは担当がひとつひとつ説明していきました。説明会や勉強会の実施など、導入にあたってはLINEさんにもサポート頂いてます。
現在未導入の施設でも引き続き検討はしてくれているので、段階的に使える場所を増やしていきたいですね。

市民の皆様へはまず周知することが重要ですので、ホームページのバナー、Twitterなど市で持っているWEB媒体、市政だよりなどの広報媒体、区役所前ののぼり、個別セミナーなど様々な接点で告知を行っています。特に市政だよりでの告知に対してはたくさんの問い合わせを頂きました。
また、初心者向けセミナーも実施したのですが、他の施策に比べても反響が大きかったですね。「(キャッシュレス化に対して)市でこんな対応をしてくれるのか」という好意的な反応が多かったです。


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福岡市の公式HPに掲載された告知バナー

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キャッシュレスセミナーの様子

-実際に導入してみて、いかがでしたか?

導入前は「本当に使う人いるの?」と不安視する声もありましたが、利用は増加傾向にあります。
年齢層も幅広く、中には初めてLINE Payを使ってみたという方もいるようです。反面、初めてLINE Payを使おうとしたところ使い方がわからず、あきらめて現金払いにする方もいるのでそこは課題ですね。

施設側からの問い合わせもあります。これは嬉しい驚きでしたね。キャッシュレスが広まってきていることを実感します。
市民の方からも「ここでもコード決済が使えたらいいのに」という意見が届いています。需要は感じているので、施設と相談しながら使える範囲を順次広げていきたいと考えています。
「キャッシュレスシティ天神プロジェクト」などの動きもあり、市内では民間の大型商業施設への導入も進んでいます。このような動きによってユーザーが増え、使える施設が増え、良い循環が生まれるのではないかと思います。

窓口


-一緒に取り組みを進めていく中で、よく「福岡市はなぜ、変更難易度が高い自治体内の仕組みや慣習をドラスティックに変えることができるのか。」という質問を頂きます。なぜなのでしょうか。

「変えるべき必然性がある」ということと、「体制・人材を整えている」ということが挙げられるかと思います。
福岡市は嬉しいことに年々人口が増えていますが、それゆえに発生する課題もあります。その一つが区役所の混雑で、特に春先の引っ越しシーズンは、転出入の手続きで長い時間お待たせしています。
混雑を緩和するための一つの方法として、手続きのオンライン化があります。仕事や子育てなどで忙しい市民の方に、区役所までお越しいただかなくとも、どこからでも手続きをしていただけるようにできれば、利便性も向上すると考えています。
こうした背景を受けて福岡市では現在、行政手続きのオンライン化を積極的に進めています。先日の粗大ごみ処理手数料支払いのキャッシュレス対応もひとつ大きなトピックですね。(※3)

※3 粗大ごみ処理手数料支払いのキャッシュレス対応についてはこちらをご参照ください
http://linefukuoka.blog.jp/archives/79493122.html

体制面では、企画調整部の中にある「mirai@」というワンストップ窓口の存在が大きいと思います。
窓口担当者は各部局に話を持って行き、総合調整をする役割。普段からスピーディーに調整する権限や意思を持っており、周囲をまきこむ力も強いです。
「福岡を良くしたい」というのは職員の共通した思いですが、組織として最大限の力を発揮するためには、その思いを一つに束ねる必要があります。その推進力となっているのが、高島市長の強力なリーダーシップですね。福岡市のような規模の大きい組織の場合、トップのリーダーシップと、それを推進力として組織横断的に調整する部門が置かれていることが重要だと思います。

それとこれはあくまで主観ですが…福岡が好きだから、という理由での入職者が多いように感じます。進学や就職で一度東京に出たけど福岡に戻ってきた、というような。地元に貢献したい、福岡をもっと良いまちにしたい、という思いを持った人が多く、そんな「福岡愛」の力も強く働いているかもしれませんね。

-福岡でも着実にキャッシュレスが浸透してきています。今後、実現していきたいことはありますか?

取り組みを始めてから、人口規模問わず、全国の自治体から問い合わせを頂いています。具体的な費用感や、どのように浸透させていったかなどの質問が多いですね。
キャッシュレス化という大きな流れの中で、自治体としてどのように動くべきか悩む一方、必要性も強く感じているのだと思います。
福岡市としても「導入して終わり」でなく、引き続きトライ&エラーを繰り返して、市民のためになるキャッシュレスの在り方を考え続けていきたいですね。

-ありがとうございました。

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【福岡市】
公式ホームページ:
http://www.city.fukuoka.lg.jp/
キャッシュレス実証実験特設ページ:
http://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/kikaku/mirai/fullsupport_3.html
LINE Payが使える福岡市施設:
http://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/joho/shisei/qrcode_settlement.html

【LINEと福岡市のこれまでの取り組み】
【本件に関するお問い合わせ先】
LINE Pay導入事例はこちらでもご紹介しています↓
http://pay-merchant-blog.line.me/archives/13525594.html

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